三鷹まるごと博物館
バーチャルガイド

大沢の里古民家建築解説

①基礎と土台

この古民家の基礎には、大きな玉石を配置した礎石が使われています。礎石の上に土台という横木を載せます。これを石場立てといいますが、礎石の石の形状に合わせ、土台の木をひとつづつ鑿で加工します。これは光付けというとても手間のかかる工程ですが、このことにより基礎が安定します。

この古民家の基礎にゃあ、でっけえ玉石をつかってんだ。礎石(そせき)っていうな。礎石の上にゃあ土台ってえ、ふてえ材木を乗せんだけどよう。あんべぇがわりぃだろ。そんだから玉石のかたちに土台の木(もく)をつくんだよ。石場立(いしばだて)なんて言ってんけどな。石のうえに土台をのせちゃあ、あんベーをみてよ、出っ張ってっとこを鑿(のみ)で削んだよ、石の形にぴったんこにな。なんども鑿あててよう。光付けってんだよ。手間かかるよ。でもこーすんと礎石と土台ががっちりしてよ、ずれねーんだよ。石削るよりゃ楽だ(笑)

大沢の里古民家建築解説

②土間

土間はたたきともいいます。家の中ですが土足で入る範囲です。農家の暮らしが仕事と一体となったものであることがよくわかります。たたきとは、たたいて締め固めるためにその名があります。赤土と砂や石灰などを混ぜて、突きん棒という道具で締固め、水を含ませて固めています。

土間ってんのはなぁ、たたきのことだね。うちん中なんだけど、下駄やぞうりとか地下足袋とか、履いたまんま歩きまわんだよ。なんでかって言うと、仕事すっためだね。いまん人から見りゃ不思議かもしれねぇけど。むかしゃあこれがあたりめぇだったんだよ。たたきってえのは、たたいて固めるからだね。こけーらへんの赤土にゃあ、砂と石灰なんか混ぜて、でっけえ丸太で作った突きん棒で締め固めて最後に水まいて固めんだ。

大沢の里古民家建築解説

③屋根裏

養蚕を行う前には、小屋組みが見渡せる大きな空間が広がっていました。蚕を飼うために梁を渡し、簀の子ような木材を張り巡らし、筵を張っています。下から簀の子状の板と筵を見ることができます。

屋根裏ってゆってんけど、元々天井はがらんどうだったとこに、蚕飼うために梁渡して簀の子張って作ったんだよ。下から見ると筵(むしろ)張ってあんのがめぇんべ。

大沢の里古民家建築解説

④屋根

屋根が急角度なのが、元々茅葺屋根の特徴で、雨水の水分を茅に溜めないための工夫です。さすとは、てっぺんの棟木を合掌形に組んで支えているところからきています。

屋根がえれぇ急だべ?さす構造っつってかやぶき屋根はそおいうもんだ。さすってのはてっぺんの棟木を合掌に組んでるとっから来てんだよ。雨が降っても急にしときゃどんどん流れっちまってよ、茅が長持ちすんだぁ。

大沢の里古民家建築解説

⑤長式台と上がり框

土間から座敷までの段差を高く作るのが日本家屋の特徴です。座敷に上がるために据え付けているのが長式台で、腰かけて荷物を背負うのにも都合よく作られており、下段は物入れスペースにもなっています。座敷の縁にある部材を上がり框といい、座敷に上がる際に一番目立つところで、また必ず踏む部分のため、耐久性のよい部材が使われます。

たたきからから座敷までこんな高くっちゃあがれねぇよなぁ。ここんとこにあんな、上がり框ってんだ。一休みにもいいあんべぇだ。したんとこあ、物入になってんだ。つったってねぇではやくあがんなよ。

大沢の里古民家建築解説

⑥棟木・梁・桁

屋根裏の一番高いところに、建物の長軸に渡してある太い部材を棟木といいます。棟木と直角に渡してあるのが梁で、平行するのは桁といい、重たい屋根構造を支えています。自然の丸太の曲がりなどもそのまま使っています。

屋根裏のいっちばんてっぺんとこに渡してあんのが棟木だぁね。棟木とまっかくに渡してあんのが梁で重てぇ屋根を支えてんだよ。棟木と並行にしてあんのが桁ってゆうな。自然の丸太をそのまんま使ってっんから味があんだべぇ。

大沢の里古民家建築解説

⑦縁側

わさび田を見渡せる位置に縁側をしつらえているのが、この家の特徴です。縁側に腰を下ろして、広がる風景と農家の佇まいを、ゆっくり楽しんでいってくださいね。

ここんちは、縁側からわさび田が見渡せべぇ。えんがーに腰おろしてゆっくりしてってくんねぇ。

標準語

多摩弁